同居相手は黒猫くん




「てかほんとに好きなの?」


「…うん…」


「どんくらい?」




…えっ?


どどど、どんくらいって……どのくらいなんだろ…。




「わ、分かんない…」


「……」




またもや不満気に私を見つめる刹。

まあ不満にもなるか……。


全然はっきりしてないもんね。





「じゃあ比乃は俺とキスできんの?」





!?

ちょ、ちょっと待って!?


何その基準っ。



キス!?





「…ていうか一回刹からキスしてきたじゃん…」


「あれは比乃黙らせただけ」





キスって違うものなの??

あ、でも人工呼吸とか違うか……。



…???





「…で、できない」


「やっぱりな」





刹とはキスできない。


嫌とかそういうのじゃなくて。



こんな簡単にしたくないっていうか、まだ何か……抵抗があるというか。




「……あれ、じゃあこれって私…、好きじゃないってこと?」


「比乃がそう思うならそうだな」




刹は変わらず無表情。




そうか。


私は刹のこと好きじゃない。



きっと、これが正解なんだと思う。




< 89 / 283 >

この作品をシェア

pagetop