同居相手は黒猫くん
* * *
「はい、メロンパンねー」
購買のおばちゃんはそう慌ただしく刹にパンを渡した。
刹はそれを受け取ると、クルリと踵を返して歩き出す。
「刹ー!」
そこで遠くから佐久間が、刹のもとへと走って来た。
「何、佐久間」
「いや、用はないんだけどね」
爽やかに笑ってみせる佐久間は、刹と並んで歩く。
「…刹はなんであんなこと言ったの?」
「……」
「思ってもないくせに」
「っさい…」
グイッと肘で佐久間を押し、刹は俯いた。
佐久間はハハッと笑う。
「俺的にはちょっと好都合になっちゃうけどいいの?」
「うるさい。なんでそんな自信あんだよ」
「俺にとって最大のライバルが刹だから」
「……お前は正直過ぎ」
刹はそう言って、また肘で佐久間を押した。
そしてまた佐久間は笑う。
「…なあ」
「ん?」
「比乃って……昔もあんな馬鹿だったん?」
刹はそう上目遣いで佐久間を見る。
佐久間はうーんと考えて、クスッと笑った。
「うん(笑)ずっと馬鹿」
並んで歩く二人は、同時に笑い合った。