Don’t Cry.
こんなところに自分以外に人がいるとは思わなくて、驚きながらもその声がする方へ行ってみた…
「…どうしたの?」
双葉峠に唯一ある大きな木の下に、先程の声の主がいた。
男の子はうずくまり、しくしく泣いていた…
自分と同じくらいの年格好なのに、きっちりとした服をきていて、ここの田舎にはあんまり馴染まないように見えるのが、不思議。
男の子のことが気になって、わたしはそう声をかけたんだ。
そうして待っていると、目をこすりながら少し顔を上げ、木の上を指差した
「 ? 」
それにつられて木を見上げると、木の枝に赤く丸い風船が引っかかっていた…
「ぼくの、風船…」
男の子は、どうやらこの風船がとれなくて泣いているらしかった…