君に、メリークリスマス






カタン…カタタン…



カタン…カタタン……





揺れる電車に…身を委ねるようにして…。


窓の外の景色を、ぼうっと…眺めていた。






田んぼと山に囲まれた景色が……



次第に、町並みへと変わり。





君が住む街へと…運んで行く。





高層ビルやマンションが立ち並ぶ…都会の街に。



私は…降り立った。








初めて来る街……。






改札を抜けて、外へ出ると。




少ない雪に代わって…


冷たく乾いた風が。



びゅううっと音をたてて…吹き抜けて行く。






「………。……寒っ……」




高い建物に…圧倒されて。



あたりを…キョロキョロと、見渡す。






「……あっ!」






半ば突発的に出てきたから…


君に時間など知らせていなかったことに…


ここでようやく、気づいた。








『駅前のコンビニで待ってて』





君からのメールに。


再度…周囲を見渡す。








「駅近くって…、…遠いじゃん!」



視線を真っ直ぐに向けたその道の先に…


コンビニの、看板が見えた。













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