君に、メリークリスマス










君の手は…



ヒヤリと、冷たかった。




背筋が凍るくらいに。


冷たく…なっていた。










『…温めてくれる人がいれば、それでいーじゃん。』





いつか君が言っていた…言葉。





だけど、いくら…私の手で温めようと、


温もりを…分け与えることさえ、許されなかった。









綺麗な顔で…、


ちょっとだけ大人っぽくなった顔で…、




君は、眠っている。




雪のように…真っ白な顔。





真っ赤になっていた手。
真っ赤になっていた…鼻先。



どこに、その面影を…見いだせるのかって言うくらいに…



真っ白。





色を失くした唇。

1年前も、その前も…




私に優しく…触れていたのに。





「リョータ。夜這いに来たよー…。」



君に代わって、今度は私が…来たよ。




「クリスマスだよ、リョータ…。」











「リョータ、リョータ…。」









返事は……なかった。




君に初めて用意した…クリスマスプレゼント。

紙袋にはいったまま……出番を待ちきれずに。



すぐそばで……横たわっていた。



ブラウンの…手袋。






















霊安室に、君を呼ぶ私の声だけが……




谺した。

















もし、私がここに…来なければ。

もし、私が……間違えなければ。













神様は……君を、連れてはいかなかったのかもしれない。












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