鉄の救世主Ⅲ(くろがねのメシアⅢ)
「止せ、考えるな」

一緒にヘリに乗っていた小暮が言う。

「ああだったら、こうだったらは意味ねぇ。誰が裏切り、誰が死ぬかは決められねぇ」

「……」

それでもマットは俯く。

「俺がもっと早くにナノマシン投与に気付いていれば…ステビンスは無理でも、ギャレンタインやスミス、シュミッドだけでも救えたかもしれない…そもそも俺がチョークのリーダーなんか務めなければ…」

「後から考える時間はたっぷりある、本当さ」

煙草に火を点けつつ、小暮は口を挟んだ。

「ここまでお前はよく戦った。今日は発信塔の破壊にオスカー型の制圧、よく頑張った。これ以上自分を痛めつける事ぁねぇ。そろそろ自分を誉めてやる事を考えたらどうだ?」

「……」

ぶっきらぼうな小暮の言葉。

マットは静かに頷いた。

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