鉄の救世主Ⅲ（くろがねのメシアⅢ）

PMSCsのコントラクターは、ジュネーヴ条約やハーグ陸戦条約に基づいた捕虜としての権利を認められずに、奴隷的強制労働や裁判無しでの『処刑』に処される可能性があるなどのデメリットを有する。

傭兵が正規兵の代わりに『汚れ仕事（ウエットワーク）』を命じられ、その割には正規兵のような権利を認められないのは古代以来延々と続く問題であり、傭兵を使う限り抜本的な解決は困難である。

「了解、これより任務に就く。詳細を」

傷心のままでありながら、マットは任務を引き受ける。

「マットさん」

豊田が止めようとするが。

「大丈夫だ」

彼は軽く微笑む。

いつまでも感傷に浸っていられない。

自分は兵士なのだ。

泣き言を言って、民間の兵士を見殺しにする訳にはいかない。