俺のこと、好きになってみよ?
□ その1 ■
会って数分で 。
「いーろーはーちゃん、やっほー!」
カランコロンとドアが開く音、それとともにそんな声が店に響く。
それはまた、“あの人”が来たということがわかる合図みたいなもの。
「………また来たんですか」
毎週火曜、木曜、土曜。
私のバイトの日に決まって、“あの人”は来るのです。
「言ったじゃん、好きになったって」
「お断りしたはずですが」
私がそう言い切ると、冷たいなぁ。と目の前の人が小さく笑った。