俺のこと、好きになってみよ?
『……すみませんお客様、私なんかよりももっと素敵な女性はいると思いますよ?』
『ううん、君がいい』
『いや、だから……』
『君が欲しい』
いったいぜんたい、この人は何を言っているのだろう。
知り合いでもない、今日初めて会ってばかり。
『でも、ごめんなさい』
キッパリとそう言ってみると、男の人はシュンとした顔。
…いやいや、私悪くないからね?
『ま、そんなすぐに決めつけないでよ。あ、それとこれからこの店通うね』
『えっ、いや、あの…っ』
男の人は財布から一枚の紙を取り、スッとレジに置いた。
『じゃあね、また来ます』
そして男の人は、それだけ言って店を出て行ったのである。