俺のこと、好きになってみよ?
「って、もう時間だ。戻らなくちゃー…」
九條さんが、腕時計を見ては口を尖らす。
…やっと帰るのか。よかったよかった。
「もっと彩葉ちゃん見てたいのになぁ…」
「はい、もう来ないで下さいね」
すると私の話は無視して
うるうるした目で、嘉代さんに「僕…来ちゃダメですか?」とか色目使ってるわ
嘉代さんは嘉代さんで
「そそそそんなわけないですぅ!どどどしどし来てください!」ってどもってるわ。
「だって、彩葉ちゃん」
「………確信犯ですか」
「どうだろー、じゃまたね!」
また睨んでやると、九條さんは澄ました笑顔で店から出て行った。
これからこんな日々が続いていくのかと思うと、気分は晴れるはずもなく。
とにかく憂鬱でしかなかった。