俺のこと、好きになってみよ?
そして、バス停に着いて。
だけどまだバスは来ていなかった。
「あ、じゃあ、私行くね」
「はい。ちょっとでも一緒に帰れて嬉しかったです」
「…うん。じゃあまた」
自転車にまたがり、漕ごうと足をペダルにかけたら
「彩葉さん!」
てるくんに名前を呼ばれて、振り返る。
そのとき、ちょうどバスが来た。
「嘘じゃないですよ、さっき言ったこと」
「…え?」
「彩葉さんのこと狙っちゃおうかなって思ってること!」
てるくんはニッ、と笑い「昴にぃちゃんには悪いけど」とつけたして
ー 開いたバスのドアに飛び乗っていったのだった。