俺のこと、好きになってみよ?
「そ、それでてるに彩葉ちゃん取られてないかなって思って急いで来ちゃったんだけど…よかったぁ、いて…」
たしかに、ハァハァと少し息を切らしてるけどさ。
そりゃいますよ、バイトですから。
「…だから、ありえませんってそんなこと」
「だって、てるにあんなこと言われたら超心配になるじゃんっ」
バイト仲間の人が、「どうぞ」と折りたたみイスを九條に差し出して
「あっ、ありがとうございます」
と、すぐに座った。
「それで、急いできたんですか」
「うん…。でもほらね、俺の言うとおりになったでしょ?俺の欲しがるのはてるも欲しがるって」
がくっとうなだれる九條さん。
…この人、そんなことごときでこんなうなだれてるのか。