俺のこと、好きになってみよ?
「あ…あは、は」
私はそれを、笑って誤魔化したんだけども。
「ってことだからさ、昴にぃちゃん」
「…気になるとかは別にいいけど、彩葉ちゃんに手出したら怒るよ?」
「え〜昴にぃちゃん怖〜い」
…いや、あの、ふたりともさっきから何を言ってるんですか。
話に割り込めない私はただふたりの話を聞いているだけで。
「本気で怒るよ?てる」
「わかってるよーう。…あ!もう仕事ほんとに戻らなくちゃ昴にぃちゃん」
店にある時計を見た、てるくんは昴さんの腕をグイグイと引っ張る。
「あーもうわかってるって。じゃ、行くね彩葉ちゃん!」
「…あ、いってらっしゃい、です」
そうして、よく状況が把握できないまま、ふたりはお互いを睨み合いながら店を颯爽と出ていったのでした。