それでも出会えてよかったと思えるんだ
『大丈夫か?あたる…』




『さっちゃ…!青山支店長…』



『他人行儀だな…。でも、やっと会えた…』




何を言ってるの?


私に会いたいなんて可笑しいでしょ…



『…失礼します』



行こうとしたら、腕を捕まれた




『…話がしたい』




話がしたい?
今更何を話すの?



『…離して下さい。こんなとこ誰かに見られたら…』



『…話をさせてくれ。頼む』



真っ直ぐ、私を見てきた



私もようやく彼をちゃんと見た




少し、やつれたような印象…




こんな余裕のない彼を見るのは、初めてかもしれない



あの時握った手を、今度はほどいた



そして、そのまま、走り去った



何で?
何で?
あんな時間に何をしに来たの?



はるがインドに行くときもそうだったけど、最近何で?どうして?の出来事ばかりだ




呪文のように、何で何で?と呟きながら、家に戻ると、部屋の前に亘がいた




『…亘…』




『よっ、呑もうぜ』
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