それでも出会えてよかったと思えるんだ

佑樹

その週末、久しぶりに佑樹の店に行く事にした


次の日仕事だというのに…



一人呑みたい気分だった


色々考え過ぎて、籠ってばかりも、気が滅入る




『いらっしゃいま…なお!』



佑樹は店長だけど、店にいる時は出来る限りお客さんを出迎えるようにしている



謙虚な気持ちが接客業じゃ必要だと言っていた




『呑みたい気分だから、来ちゃった』




『…そうか』



変な佑樹…

そして何か覚悟を決めたように頷き、佑樹は言った



『一人で呑みたい気分か?誰かと呑みたい気分か?』



『佑樹が付き合ってくれるの?』



『いや、まぁ…。お客様お通しします。いらっしゃいませ、ありがとうごさいます』




『いらっしゃいませ。ありがとうございます』




佑樹が言うと、店員さんが皆で復唱する


本当にお客様第一を大事にしている、何度来ても気持ちのよい居酒屋だ





『お客様、お連れ様をお連れしました。失礼致します』




厨房の見えるカウンターじゃないんだ

こんな個室に入るなんてあまりない…


それにお連れ様って、何よそれ



私だけが驚いているのではなく、中にいた人も驚いていた




『…なおっ』
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