それでも出会えてよかったと思えるんだ
『お待たせしました』



『久しぶりだね、あたる。元気にしてたかい?』



私に向けられた微笑み

この笑顔が素敵だと思った


そして、禁断の道を歩んだ





『答えを聞く前に、一言言わせて欲しい』



そういって、さっちゃんは話し出した



『君の手を握って、君に手を離された時に、俺は本当にショックで、転勤を申し出てしまった』




そうだったんだ…

だから、付き合い出してすぐ、異動になったの?



知らなかった




『ずっと、あの時の行動を悔やんでいたよ。どうして、君から逃げようとしたのか、ずっと、君の傍にいたらよかったって。俺は、あたるが傍にいて欲しい時に、傍にいれなかった。あたるが嬉しい時、寂しい時、落ち込んだ時、これからは一番近くにいて、一番先にあたるの変化に気付きたい。まだ片付けなきゃいけない問題もあるが、あたるを出来るだけ早く迎えにいくから、俺を信じて欲しい。俺と生きてくれ』




そういって、さっちゃんは、グラスを持つ私の手を握ってきた



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