それでも出会えてよかったと思えるんだ
私はさっちゃんに奥さんがいることわかっていたけど、でも、さっちゃんのように色々笑って聞けるほど大人じゃない
でも、さっちゃんがそんな対応だから、私も背伸びをして、奥さんとのことは平気よって顔をしてしまう
さっちゃんの奥さんは、専業主婦
仕事がなかなか続かなかったので、パートもやめて、家の事をやるのが好きだから、料理学校にいったり、お花を習ったり趣味にいそしんでるらしい
さっちゃんは、子供がいない
昔、私と付き合う前に、流産してしまって、それから奥さんが子供を、欲しがらなくなったと言っていた
さっちゃんは、子供が欲しかったので、もう一度頑張ろうと言ったけれど
"心も体も傷ついたのは私だけ。それなのに、まだあなたは要求するの?"
と言われ、何も言えなくなったと言っていた
その話になると、ヒステリックになる奥さんに疲れたのかもしれない
だから、さっちゃんは
"あたるといると安らぐ、あたるは俺のオアシスだ"
ってよく言って、私に顔を埋め甘えるけど、本当にそう思ってくれてるのが、凄く伝わる
やっぱり、人間パートナーに不満や不安を抱えると、違う拠り所を求めてしまう生き物なのかもしれない
結局弱いんだ
さっちゃんが奥さんに不満や不信がなかったら、私を好きになってなかったんじゃないかなって思う
だからといって、さっちゃんが、私が初めての浮気かどうかはわからない
過去を聞いてもいい思いはしないから、私は聞かない
さっちゃんが、前科持ちって知ったら、きっと私は落ち込むから
浮気がただの浮気じゃないくらい、私はさっちゃんを必要としていたのかもしれない
自分で自分の事を浮気相手と呼ぶのもなんだか、せつないけど、現実そうだから…
ただ、さっちゃんには、亘の話はあまりしない
なんとなく、亘の話をすると、顔が歪む感じがする
なぜか、わからないけど、でも、亘の事を否定されるようで、それがいやだから…
亘は大事な友達
亘には、昔っから助けてもらってるから、さっちゃんにも、認めてもらいたかったんだけどな…
亘の話なら一杯あるのに…