それでも出会えてよかったと思えるんだ
さっちゃんと、旅行に行ったの見られてたんだ…
『…どうして?』
『私も駅にいたの。店辞めて田舎帰る子の見送りで』
『…』
『…付き合ってるの?』
『…』
『…はるのことは、もう嫌い?』
『…嫌いじゃないよ。でも…』
『でも?…不満がある?』
『…』
『はると別れず、あの人とも付き合うってことは、わけありだよね。だから、はるともいるんだよね』
『…結婚してる』
『…私がえらそうに言える事は一つもないよ。でも…、なおには、笑ってて欲しい。はるに、ばれないで。どっちも傷つくの見たくない』
木葉は、それ以上何も聞かなかった
気持ちはわかる…
話せる時がきたら、何でも言ってね、聞くからって言ってくれた
木葉に聞いてもらいたいことは、一杯あるけど、上手く言えそうにない
自分でも、どうしたらいいかわからない感情を、人にどう説明すべきか、わからない
味方は欲しいけど、悲劇のヒロインぶってる時は、私のことなんて誰にもわからないからって、一人で悩む事に酔いしれる
でも、そんな時はまだ余裕があるのかもしれない
本当に悲劇に陥ったら、人は見境ないから
頼れるものには頼り、味方を探す
一人にしないでって
私を一人にしないで
でも、悲劇のヒロインぶれる時、本当に一人じゃないから、贅沢が生まれる
この時の私は、恋愛に悩むふりをしながら、二人の男に愛されてるという強味があったから、余裕があったんだ