Because[短篇]
Siho
空は雲一つない晴天。
大きな太陽が空から顔を覗かせる。
「あー、暑い!」
「…31度だってー」
私の隣で暑そうにパタパタと下敷きで扇ぎながら、携帯を面倒くさそうに覗く佳枝。どうも、携帯に今の温度が表示されていたらしい。
って、31度!?
そりゃあ、暑いわけだ。
「あ、竹之内君だ。」
「げっ、匡?!」
条件反射で私の体は硬直。
ぶるっと身震いが起きた。
「ほら、ドアん所にいるよ!」
「…き、聞こえないし、見えない!」
私の後ろを指差す佳枝は
キョトンと顔を傾ける。
…うー!
佳枝は分かってないんだよ!
耳を両手で塞ぎ、
目を瞑る。
「ちょっと、志保?」
「…佳枝ちゃん、平気だから。」
耳を塞いでいるにもかかわらず、ハッキリと聞こえた匡の声。太くて、低くて、そして…不機嫌そうな、その声。