Because[短篇]
「…何、あれ。」
そして、急に匡の口から飛び出してきたその言葉。私は最初、何のことを言っているのか全然検討がつかなかった。
「あれ?」
あれ、って何?
私はイライラしている匡を見る。
少し赤く染まった匡の顔。
そして白い壁紙。
私の目の前にいるのは確かに匡なのに、いつもの匡じゃないみたいで、少し動揺した。
「…イラつく。」
「え?今、何て言っ…」
そう口を開いたはずなのに、
それ以上言葉を発することができなかった。
少し開いた私の唇に、ゆっくりと押し当てられたのは匡の唇。
「ん!?」
びっくりとした私なんて完璧無視。
匡はどんどんソレを深める。
「んんーっ!」
な、なんで?
なんでキス?!
私達、そんな関係じゃないじゃない!
無理やり匡の肩を押し、
捕まれていた匡の腕から抜け出す。
「…外の男の名前呼ぶんじゃねぇよ」
……はい?
「なに笑ってんだよ。」
…えぇ?
「…俺だけにしろよ。」
えぇー!?