Because[短篇]
匡の口から出る一言一言に、私の頬はこれでもかってくらい赤くなる。
そんな私に向けられた匡の視線。
私と同じくらい真っ赤に染まった匡の視線。
「返事。」
何でそんな目で見るの?
声とは裏腹に不安そうな紙の色と似合わないその黒の瞳。
「まぁ、決まってるだろうけど?」
何でそんなに意地悪なの?
私の心を見透かすように返事を問う。
言葉に詰まった私を
返事に詰まった私を見て、
一瞬顔を歪めた匡。
「…俺、お前に嵌ってんだけど。」
そしていつもの覇気があるような声とは裏腹に、小さく言葉を落とした。
…あぁ、この人はズルイ。
何でそんなに私を虜にするんだろう。
「…なぁ、聞かせろよ。」
ぐっと無理やり力を込めたような声で、その少し揺れる瞳で私を睨む。
…今分かったような気がする。
1年も前の出来事なのに未だに匡の言うことを聞き続けていた私。私を毎日こき使っていた匡。
今日、一瞬顔を出した私の嫉妬心。