Because[短篇]
「意地悪…」
「お前にだけな。」
…あぁ本当にズルイ奴。
こうやって私の心を掴んでいくんだから。
不覚にも"お前だけ"
という言葉に胸がキュンとなる。
「なんで私にだけ?」
だだ赤くなっているのを隠したかった。バレたくなかった…のに。
匡は私のストップをかけている手を掴み、そのまま私を引き寄せる。暖かい広い匡の胸の中に飛び込む私。
「んなの、決まってる。」
そう言って、私の頭を引き寄せ、
唇が触れそうなその位置で囁いた。
「お前が好きだから。」
そしてそのまま私の心ごと、
唇を奪っていってしまった。