Because[短篇]
そっと目を開けると、私のすぐ前に立ち佳枝に気味が悪いほど笑顔を向けていた。そして、微かに頬を染める佳枝。
…彼氏いるくせに!
いや、匡なんかに顔を赤らめるな!
コイツは悪魔なんだから!
「おー、やっと起きた?」
「…な、何の用?」
起きたわけでは有りません。
ただ無視したかっただけです。
…なんて言えるわけもなく。
匡はにやっと笑うと私の前にドスっと腰を下ろした。つまり、私の前の席に座り込んだのだ。
「あ、志保!私、委員会あるから、」
「え!?」
ペコっと匡に頭を下げ、佳枝はスタスタと教室を出て行ってしまった。すこしスキップをしながら。
…この状況、最悪かも。
目の前には妙に笑顔な、
作り笑い100セントの匡。
「…良い度胸してんじゃん?」
「ひっ…」
…おい!
急に変わりすぎだろ!
佳枝の姿が完璧に見えなくなった瞬間に、一気に変化したその顔。鬼!鬼!鬼!
「ま、匡…」
「シカトとか馬鹿げてるよな?俺相手に。」