Because[短篇]


ん?っとわざとらしく頭を傾けるものだから、私は何も言えずに黙り込んでしまう。その瞳に、その仕草に、いつも息を呑んでしまうんだ。



「つーか、昼休み、来いって言っただろーが」

「よ、用事あるって言ったもん!」

「関係ねーよ。」




そう。
今日は用事がある…ってことにした。


だって、匡が私を呼び出す時なんて碌な事がないんだもん。パン買って来いとか、挙句、昼休みに次あたる宿題やれとか。





「最優先順位は俺が一番だろうが。」

「なっ…!」



性格、悪っ
当たり前カのようにはぁ~っと大きく溜息を吐きながら私を睨む。



私の優先順位はご飯です。
2番目以降も、決して匡ではない!




「ほら。」


チャリンっと私の前に落下する金のコイン。机の上をコロコロと転がり、私の目の前で丁度良くその動きを止めた。




「メロンパン。」

「…。」

「お前が早く来ねぇから、売り切れたかもな。…したらコンビにまで走れ。」




当たり前カのようにそれだけ言うと、
匡は少し引きずるそのズボンに手を入れ、立ち上がった。



「あ、急げよ。」

「い、今から!?」

「あたりめぇだろ。」





ニヤっと笑った匡。
意地悪そうな、その笑い。



みんなは見えていないのだろうか。





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