Because[短篇]





「今日の日直2人は俺の手伝いしてから帰れ。」



あらら。
今日の日直とは私のこと。

そしてもう1人は
よっちゃんこと吉田君。

明るく元気なサッカー少年だ。






「ま、10分くらいで終わるから。」




私とよっちゃんが受け取ったのは
50枚ほどのプリント。


それに印鑑を押すと言う
簡単な作業。




「志保ちゃん!頑張ろうね!」

「そうだね!早く終わらそう!」





1人、また1人と教室を後にする皆。




「じゃ、志保バイバイ♪」


最後まで一緒にいてくれた佳枝も、バイトがあるからと帰ってしまった今、私とよっちゃんの2人きり。



…まあ、気まずくはないけどね。なぜかって?




そりゃあ…




「うわあー」

「…ぷっ」




印鑑を押し終わった紙が開けていた窓から入ってきた風にひらりと飛ばされる。それを慌てて拾うよっちゃん。


コレで何回目だ?



「志保ちゃん笑いすぎ!」

「ごめんごめん。」

「手伝うよ。」





私は床に散らばったプリントを屈みこんで1枚1枚拾う。






「よっちゃん、ドジだよね」

「なにそれー」




こんな感じに、よっちゃんは軽く天然だ。
一個一個の行動が私のツボに入る。





はははっと笑い合いながら最後の一枚に手を伸ばした、その時。私の前からすっと紙がなくなった。



「え?」







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