Because[短篇]
見上げた先に立っていたのは、プリントを拾い上げた匡の姿だった。
「…へー、楽しそうだね。」
「あ、竹ノ内君!」
私よりも先に言葉を発したのは、私の隣で座り込んでいたよっちゃんだった。にっこりと笑いながら匡に話しかける。
「よ、よっちゃん?」
私の予感が正しけれは。
匡のご機嫌は今、斜め…というか、すっごい悪いと思う。
そんなドス暗いオーラを
出しながら睨む匡にお構いなく話しかけるよっちゃん。
わたしはオドオドとその様子を見つめる。
「海ちゃんから聞いてるんだー」
う、海ちゃん!?
なんでココで海ちゃん?
よっちゃんの顔はいつもと同じ、
少しふざけたあの笑い方。
「…で?知っててやるんだ?」
「ぅっわ」
急に引っ張られたのは
私の腕で。
そんなことを予想もしてなかった私の体はいとも簡単に匡の背中に隠れた。
「えー?俺はただ日直で」
「知るかよ。」
「…海ちゃんの言った通りだね。」
ちらっと匡の肩から
よっちゃんの顔を垣間見る。
「ぶっ…な、何よー!」
「お前は見なくていい。」
出した頭を無理やりつかまれ、ぐっと押し縮められる。