シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
「いらっしゃい。どうぞ」


笑顔で迎えてくれた梨江子は、美人さん。同性のわたしでさえ、見惚れてしまうほどだ。


スッピンでも可愛いなんて、ホントうらやましいよ……。


「あのっ、梨江子……!お客さんいるなら、わたし出直すよ……?」
「ん?あー、たくの友達来てるんだけど、もうすぐ帰るだろうから大丈夫よ。ほら、上がって?」


匠哉さんの、お友達。2人の結婚パーティに来てた人かなぁ?って、顔見ても分からないだろうけど……。


「う、うん……。じゃぁ、お邪魔します……」


もうすぐ帰るなら、いっか。


梨江子の後ろを追いかけ、リビングの中へと入った。


「こんにちは。お邪魔します」


こんにちは、と言っても今は朝の10時だ。こんな朝早くから人の家に来るとか、迷惑だよね……。


「お、さっちゃん!いらっしゃい」


笑顔で迎えてくれた匠哉さんは38歳だけど、わたしたちと変わらないくらい若く見える。


最初紹介された時は、驚いたっけ。


わたしのことを、〝さっちゃん〟と呼んでくれて、とても優しく接してくれる。


けいちゃんより年上だからなのか、大人の男に見えて仕方ない。


その優しい喋り方も、梨江子に対する愛情も見ていて、いちいちキュンキュンする。


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