シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
「匠哉さん、ごめんね。朝から2人の邪魔しちゃって……」
「なに言ってるの。さっちゃんなら、大歓迎だよ。それに邪魔なら、もうされてるから」


匠哉さんは、クスクスと笑った。


「あ、なにそれ。俺のこと?」
「お前以外、誰がいるんだよ」
「ひどいなぁ」


チラリと横を見れば、その人と目が合った。


「こんにちは」


ふわりと笑った、彼。


その笑った顔に、ドキンと胸が高鳴るのがわかった……。


目尻が下がって、クシャっとなるその顔。ふんわりパーマがかかった、茶色の髪。


座ってるから背の高さは、分からないけれど……。


服装もシンプルで紺色の長袖に、ジーパンを穿いていて。


名前も分からない彼に、一瞬で惹かれてしまったわたしがいた。


「彩月ィ?どうしたぁ?」
「えっ!?あ、ごめんっ。あ、あの……。こんにちは」


梨江子に顔を覗き込まれ、現実に戻り慌てて彼に頭を下げた。


そんなわたしに、クスリと笑った彼。


「彼女、カワイイ子だね。えーと、彩月ちゃん?」


うわぁ……!名前呼ばれちゃったし!!


しかも……か、カワイイなんて……!!


お世辞でもすごく、嬉しい……。

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