シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
「彩月ちゃん?」
「は、はい!!」


突然、ともさんに呼ばれ姿勢を正した。


「匠哉は、こう言ってるけど俺めちゃくちゃイイオトコだよ。惚れちゃうかもよー?」
「へっ!?あっ、えっと、惚れないよう、心がけます……」


ともさんは笑いながら、きっと冗談を言ってるんだろうけど、わたしには充分すぎるくらい、心拍数を上げる言葉だった。


動揺しているわたしに気付いていないのか、気付いていてわざとなのか分からないけれど、ともさんはニヤリと笑い。


「ま、惚れてもいいんだけどね?」


そう、耳元で囁いた。


その声は、低音ボイスをさらに低くした声で、わたしの心にストンと入ってくる。


「あのっ、えと……」
「大丈夫、責任は取ってあげるから」


せせせ、責任っ!?責任って!?全然、分かんないよ!!


どこから本気で、どこまで冗談を言っているのか……。


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