大キライ。







俺らがいつも昼になると



売店でパンを買って



真っ先に向かう場所




屋上のこの時間は日陰になる



空と景色が



一面に見渡せる




ここ




「なんでお前がいんだよ」





それはこっちの台詞だと言わんばかりの顔





「それはこっちの台詞」




まぁ、そういうやつだ



こいつ



山田聖…





「そこ、俺らがいつも使ってんだけど」



俺は一歩、足を前に踏み出す



山田聖はそんなことにはビクともしない




「俺が先にいたんだ。お前がどっか行け」




「はぁ?ふざけんな」




そうやって俺が身を乗り出そうとしたのを、





他の奴らが止めた




「湊!別にいーって他のとこ行こーぜ?」



「別にそんなこだわってねーだろ?」




そんなことは、わかってる



別にこの場所にそんなにこだわりがあるわけでもないし



これまでだって、違う奴に場所を取られていたことは何度かあって



そのときは普通に違う場所を探して



いくらだってある



別に何処だっていんだ



ただ



こいつが




山田聖に




場所を譲るということが



俺は心底嫌なのだ




ガキなのはわかってる



それでもムカつく



腹が立つ



俺にないものを持っているこいつが



それ以上の俺のものを奪っていくようで



なんだか無性に



苛立ってしまった






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