大キライ。
「俺、お前が嫌いだよ」
思わず
口に出してしまった
けどこれが
俺の本音だから仕方ない
「俺もだよ」
山田聖が余裕の笑みを浮かべてそう言うから
そんなとこも
"大キライ" だ
「だからお前になんかぜってー譲りたくねぇ、
きつく俺を睨みつけてそういう山田聖に
今度は俺から胸ぐら掴んでやろうと思っていた
「けど、今日は譲ってやるよ」
その言葉で、上げかけていた手を止めた
「は?」
「近づけたくねーからな」
そう言って立ち上がった山田の目線の先には、山田唯と
瑞穂栞がいた
そうか、ここで一緒に昼を食べるつもりだったんだ
「やっぱ下で食べる」
「えー?折角登ってきたのに」
「いーから、いくぞ」
「何よもー」
不満そうな山田唯の背中を押して、階段を降りていく
瑞穂栞も、それになんの反論もなく
黙ってついていく
だけどふと
振り返った彼女の
瞳と目が合った気がした
気のせいかもしれない
すぐにそらされたからわからない
やっぱり嫌い
山田聖
嫌いだよ
そして羨ましいよ
好きな子と、一緒にいれるなんて