大キライ。
「…あ」
ひとりの帰り道
どんなに小さくても、その声は確かに聞こえた
振り返ると、いた
慌てて、「しまった」みたいな顔して口を抑えている山田…
唯
「あれ、山田たちといつも先に帰ってないっけ」
その子は、あいつと同じ顔なのに、何故か嫌味がなく
思わず、話しかけてしまった
「…あ、いやあたしが学校に忘れ物しちゃって」
答えてくれないかもしれないと思っていたけど、彼女は自然に微笑んでそう言った
「待っててくれなかったの?」
「うーん、最近は栞連れてさっさと帰ろうとするから」
そんなことを言って、自然と俺の隣を並んで歩く
初めてなはずなのに、何の違和感もなかった
双子でもこんなに違うものなのか
「…さっき、俺見て驚いてなかった?」
「あは、ばれた?」
こっちを向いて笑って首を傾げる
こいつ、
瑞穂栞がいなかったら、普通に男子にモテてただろう、と
思ってしまう
「実は、君にあんまり近づくなって、洸紀に言われてるんだよね」
「は」
「なんか、春川くんのことめっちゃ警戒してるの洸紀、ほんとごめんね〜〜」
「…いや、別に山田は謝ってくんなくても……」