大キライ。
「てめぇ、ふざけんなよ…」
いきなりそう吐き捨て
山田 聖が俺の胸ぐらを掴んだ
「…は?離せよ」
もう、ダメだ
俺コイツと上手くやっていける気しねぇ
「離せっつってんだろっ」
周りなんて気にせず
俺はそう怒鳴って聖の手を跳ね返した
その反動で
聖は少し大勢を崩す
しかし
それを支えたのは
俺の
心底惚れてる奴。
「聖くん!大丈夫?!」
心から心配してるんだって
嫌ってほど伝わってきて
聖に若干嫉妬を覚えながらも
初めて聞いた
その声に
俺は心を奪われずにはいられなかった
だけど
その
天使のような声で
「大キライ。」
それは
俺に向けられたもの以外ありえない
瑞穂 栞が
真っ直ぐに俺の目を見て
きっと初めてちゃんと意識してくれたはずなのに
彼女のその瞳は
とても
冷たくて
大キライ。
それが
彼女に俺が
最初に言われた一言だった