study with you
眠りの王子
「またか!葉月蓮…
まあいい…早く席につきなさい」
「はあぁ~い…」
聞いてるんだか、聞いてないんだか
返事をしてのそのそと席につく彼
寝癖だろうか。
あほ毛がぴよんっと跳ねている
(今日もカワイイ…)
毎日10分~15分遅刻してくる彼
最初はただの興味本意で
見てただけなのに
気付けばどんどん
惹かれている自分がいた。
私の席の二列先
斜め前の彼
教科書越しに視線を送るだけで
未だ話したことはない
(はあ。今日こそ…)
そう意気込んで
もう何日経っただろう。
念じているだけじゃ
何も通じないのは分かってる
でも、
「はあ…」
私がこんな気持ちでいるのに
全く知りませんといった様子で
彼はスヤスヤと眠っていた。