墜ちる絵の具は青 [短]
わたしは今、美術大学に通っています。
先生に尊敬する画家の話をするといつも
「知らないなあ。」
と言われます。
それでもわたしが画家になろうと思ったのは
彼の影響なのだから。
わたしの尊敬する画家は
あの機内で隣だったお兄ちゃんで
わたしは彼ほど素晴らしい絵を描いた画家を
見たことはないと思っています。
わたしが助かったのは
奇跡だとか言われるけど
そうじゃないと思う。
きっと彼に貰ったスケッチブックが
お守りだったに違いない、と。
わたしは鞄にボロボロになった
スケッチブックを入れて
大学行きのバス停に向かって走りだした。
end