墜ちる絵の具は青 [短]

「お名前は?」

「アンナ。」

「アンナちゃん、お母さんは?」

「…今から会う。
でも、もう会えないのかな?」



「大丈夫、絶対に会えるよ。」

私はこんな小さな女の子に嘘をつきました。
もう地獄行きは決定でしょう。


「そうかな…」

「うん、大丈夫。
すぐに警察が助けに来てくれるよ。」

「…うん。」


少し女の子が微笑んだので
私は嬉しくなりました。


「お兄ちゃんは何屋さんなの?」

「お兄ちゃんはね、絵を描いている人だよ。」

「そうなの?じゃあ絵描いて。
かわいいワンちゃん。」

「いいよ。」


私は小さなスケッチブックを取出し
可愛らしい子犬を描きました。


「わあ…。上手なんだね。」

「ありがとう。」


< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop