墜ちる絵の具は青 [短]
「お名前は?」
「アンナ。」
「アンナちゃん、お母さんは?」
「…今から会う。
でも、もう会えないのかな?」
「大丈夫、絶対に会えるよ。」
私はこんな小さな女の子に嘘をつきました。
もう地獄行きは決定でしょう。
「そうかな…」
「うん、大丈夫。
すぐに警察が助けに来てくれるよ。」
「…うん。」
少し女の子が微笑んだので
私は嬉しくなりました。
「お兄ちゃんは何屋さんなの?」
「お兄ちゃんはね、絵を描いている人だよ。」
「そうなの?じゃあ絵描いて。
かわいいワンちゃん。」
「いいよ。」
私は小さなスケッチブックを取出し
可愛らしい子犬を描きました。
「わあ…。上手なんだね。」
「ありがとう。」