記憶の本〈母の中の私〉
母の笑顔。
私、林由美〈ハヤシユミ〉は、重い瞼をゆっくりと開けた。
苺柄のカーテンの隙間から、朝の明るい日差しが部屋の中に入ってきている。

「もう朝かぁ・・、結局昨日も言えなかったなぁ・・。」

そう呟くと、私は重い体を起こして、ベットから起き上がる。

ふと時計に目をやると、7時50分を指していた。

私のどんなにボーッっとした頭で考えても、急がなければ遅刻する事はわかった。

「やばーい!」

私の頭の中で思考回路は一気に動きだすと、急いで制服に着替えて、走って階段を降りていった。

一階に降りた私は、お母さんを見つけると、

「なんで起こしてくれないの!遅刻するじゃん。」

八つ当たり全開で私はお母さんに怒鳴ったが、朝食の準備をしているお母さんは全く動じない。

それどころかお母さんは、

「大丈夫、大丈夫♪ちょっとぐらい遅刻しても死なないから(笑)」

などと言いながら、ニコニコしているだけだ。
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