記憶の本〈母の中の私〉
綾野の家を出て、暫く二人並んで歩いていたが、私の心臓のドキドキは止むことはなく、さっきの翔ちゃんの笑顔ばかりが、頭の中でリピートされていた。
「由美ちゃん、顔赤いよ。」
「えっっ!」
普段私を、由美ちゃんなんて呼ばない綾野に動揺しつつ、びっくりして綾野の顔を見た私に、綾野はニヤニヤしながら、話続けた。
「名前は田口翔〈タグチショウ〉、歳は二十歳で大学二年生、誕生日は―――。」
「ストップ!急にどっ、どうしたの?なっ、何でそんな事いきなり言い出すの!」
かなり動揺してるのが自分でもわかったが、私が聞くと、綾野はとぼけた顔をしながら、平然と答えた。
「いやーさぁ、由美聞きたいんじゃないかなぁーと思って、翔ちゃん情報!」
「えっっ!そんな・・そんな事は無いよ、別に好きとかそんなんじゃないし・・・。」
最後の方の言葉は、少し口ごもりながら、チラッと綾野の顔を見れば、
「まぁ、そういう事にしといてあげるよ!」
そう言って、悪戯っ子みたいな笑顔を残しどんどん先に歩いて行った。
先を歩いている綾野の後ろ姿を見つめながら、
「綾野には、バレバレなのかなぁ・・・。」
聞こえ無い様に、私は一人呟いていた。
「由美ちゃん、顔赤いよ。」
「えっっ!」
普段私を、由美ちゃんなんて呼ばない綾野に動揺しつつ、びっくりして綾野の顔を見た私に、綾野はニヤニヤしながら、話続けた。
「名前は田口翔〈タグチショウ〉、歳は二十歳で大学二年生、誕生日は―――。」
「ストップ!急にどっ、どうしたの?なっ、何でそんな事いきなり言い出すの!」
かなり動揺してるのが自分でもわかったが、私が聞くと、綾野はとぼけた顔をしながら、平然と答えた。
「いやーさぁ、由美聞きたいんじゃないかなぁーと思って、翔ちゃん情報!」
「えっっ!そんな・・そんな事は無いよ、別に好きとかそんなんじゃないし・・・。」
最後の方の言葉は、少し口ごもりながら、チラッと綾野の顔を見れば、
「まぁ、そういう事にしといてあげるよ!」
そう言って、悪戯っ子みたいな笑顔を残しどんどん先に歩いて行った。
先を歩いている綾野の後ろ姿を見つめながら、
「綾野には、バレバレなのかなぁ・・・。」
聞こえ無い様に、私は一人呟いていた。