記憶の本〈母の中の私〉
「楽しいなぁ・・」
私が小さくそう呟くと、
「そうだね!」
返事をするかの様な声が、私の耳に届いた。
びっくりした私が慌てて横を見れば、ベランダに寄りかかりながら、ニッコリと笑って立っている翔ちゃんがいた。
「仲良いよね、綾野の家族って・・俺の理想なんだ、此処の人達って・・・」
翔ちゃんはそう言うと、夕焼けでオレンジ色に染まった空を見つめていた。
夕焼けと同じ色に染まった翔ちゃんの顔は凄く綺麗で、でもちょっと寂しそうな横顔だった。
その横顔が少し気にはなったが、あまり人の顔をジーッと見るのも良くないと思い、私は持っていたコーラを一口、口に含ませた。
「あっ!」
急に大きな声をあげた翔ちゃんに、びっくりして私が翔ちゃんの方を見れば、さっきとはうってかわった真剣な顔の翔ちゃんが、私の目を真っ直ぐ見つめている。
「由美ちゃん!今彼氏居ないよね?俺由美ちゃん好きなんだけど、どう? 」
私は、口に含んでいたコーラを一気に吹き出した。
「えーっっ!」
私は、あまりにも突然の事に瞬きするのさえ忘れ、その場で固まってしまった。
翔ちゃんは、固まっている私が面白かったのか、笑いを堪えながら私の顔を覗きこみ、
「凄い勇気だして告白したつもりなんだけど、固まらせちゃったみたいだね。」
そう言って、悪戯っ子みたいな笑顔を私にむけた。
私が小さくそう呟くと、
「そうだね!」
返事をするかの様な声が、私の耳に届いた。
びっくりした私が慌てて横を見れば、ベランダに寄りかかりながら、ニッコリと笑って立っている翔ちゃんがいた。
「仲良いよね、綾野の家族って・・俺の理想なんだ、此処の人達って・・・」
翔ちゃんはそう言うと、夕焼けでオレンジ色に染まった空を見つめていた。
夕焼けと同じ色に染まった翔ちゃんの顔は凄く綺麗で、でもちょっと寂しそうな横顔だった。
その横顔が少し気にはなったが、あまり人の顔をジーッと見るのも良くないと思い、私は持っていたコーラを一口、口に含ませた。
「あっ!」
急に大きな声をあげた翔ちゃんに、びっくりして私が翔ちゃんの方を見れば、さっきとはうってかわった真剣な顔の翔ちゃんが、私の目を真っ直ぐ見つめている。
「由美ちゃん!今彼氏居ないよね?俺由美ちゃん好きなんだけど、どう? 」
私は、口に含んでいたコーラを一気に吹き出した。
「えーっっ!」
私は、あまりにも突然の事に瞬きするのさえ忘れ、その場で固まってしまった。
翔ちゃんは、固まっている私が面白かったのか、笑いを堪えながら私の顔を覗きこみ、
「凄い勇気だして告白したつもりなんだけど、固まらせちゃったみたいだね。」
そう言って、悪戯っ子みたいな笑顔を私にむけた。