記憶の本〈母の中の私〉
私はピンクのハイビスカス、お母さんは紫色のハイビスカス、色は違うがお揃いのビキニ姿で私達はお父さん達の前に仁王立ちしてみせた。

亮太は1つ溜め息をついて「何やってんの?ねーちゃんは別として、かあちゃん大丈夫?っていうか、ビキニって・・。」と呆れてる。

ふとお父さんに視線を移すと、お父さんの目は点になっており、さらに完全に固まっている。

私が、笑いを堪えながら「お父さん!固まってるけど大丈夫?」と聞いてみると、

我に返ったお父さんは、下を向きながらボソッと、

「まだ母さんいけるなっ・・。」顔を赤くして言った。

お母さんは、すかさずお父さんの隣に行き、

「何?何て言ったの?声小さくて聞こえないんだけど!」とニヤニヤしながら問いつめている。

「似合ってるって言ったんだ!」

なかば半切れ状態で、お父さんが言えば、

「嬉しーい♪お父さんのその言葉一番聞きたかった♪」

そう言って、お母さんはお父さんに抱きついた。

お父さんはお母さんに抱きつかれながら、耳まで真っ赤にして一生懸命抱きつかれた手を、振りほどこうと頑張っている。

私は、そんな目の前の光景を亮太と二人、またかぁ・・、って感じで見ていた。
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