記憶の本〈母の中の私〉
でも一度だけ、私が大好きなお母さんのニコニコ顔を曇らせてしまった事があった。
私が中学生ぐらいだったと思うが、私の小さい頃のアルバムを見ながら私はお母さんに尋ねた。
「そういえば、お婆ちゃんの家にお母さんの写真って小さい頃のしかないよね!五歳ぐらいまでだっけ?後写真って何処にあるの?」
今でも憶えているが、今までニコニコしていたお母さんの顔が本の一瞬曇った、ニコニコ顔が消えたのだ。
「引っ越しとかして、どっか行っちゃったかな?お母さんもわかんないわ。」
そう言うとお母さんは、その場から立ち上がり、台所に行ってしまった。
そして冷蔵庫に手をかけると、「今日の晩御飯由美の好きな餃子でいい?」いつものニコニコ顔で振り返り私に問いかけるお母さんがそこにはいた。
なんだったんだろう?と不思議な感じだったが、これ以上は聞いちゃいけないと思った。
あれ以来、私の中でお母さんの子供の頃の話はタブーとなった。
なぜだかは自分でも解らないが、直感的に聞いちゃいけない気がしたのだ。
私が中学生ぐらいだったと思うが、私の小さい頃のアルバムを見ながら私はお母さんに尋ねた。
「そういえば、お婆ちゃんの家にお母さんの写真って小さい頃のしかないよね!五歳ぐらいまでだっけ?後写真って何処にあるの?」
今でも憶えているが、今までニコニコしていたお母さんの顔が本の一瞬曇った、ニコニコ顔が消えたのだ。
「引っ越しとかして、どっか行っちゃったかな?お母さんもわかんないわ。」
そう言うとお母さんは、その場から立ち上がり、台所に行ってしまった。
そして冷蔵庫に手をかけると、「今日の晩御飯由美の好きな餃子でいい?」いつものニコニコ顔で振り返り私に問いかけるお母さんがそこにはいた。
なんだったんだろう?と不思議な感じだったが、これ以上は聞いちゃいけないと思った。
あれ以来、私の中でお母さんの子供の頃の話はタブーとなった。
なぜだかは自分でも解らないが、直感的に聞いちゃいけない気がしたのだ。