記憶の本〈母の中の私〉
相談。
「何ボーッとしてんの!もうHR終わっちゃったよ。」

気がつくと、綾野が私の横に立っていた。

綾野は、私の前の席に座ると「例の話お母さんに言った?」と心配そうに顔を覗きこんでくる。

私は、綾野とは目を合わせず横を向いて、ボソッと、

「まだ、言ってない・・・。」と答えた。

綾野は、小学校から一緒の幼馴染みで親友だ。

姉ご肌で、面倒みがよく、いつも私の相談に乗ってくれる。

まぁ、いつも相談するとおこられるのだか、一番私の事を理解して、心配して、助けてくれる。

今までも何度も助けてもらっているが、又この間綾野を心配させる相談をしてしまった。

一週間前、私は一大決心をして綾野に電話し、夕方綾野の家に向かった。
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