シロクロ依存症




「うっわ見ろよあの子」

「何アレ超かわいいじゃん」

「声かけちゃう?」

「生きててよかった……!」


「………」


うるさいうるさいうるさい。

どいつもこいつも私の見目にばっかり。こっちの苦労も知らないで。


大体あんた達みたいなのが騒いだ所で私の心が動くわけがないでしょうが。


電柱の傍でたむろするその男共を避けるように、早足で通り過ぎ、……ようとして。



「こんにちわー」

「ばか、まだ朝だっつの」

「細けーこと気にすんな」

「ねえねえ、君その制服さ、東高でしょ?」

「俺ら北高なんすよ。どう?今日の授業サボる気ない?」


「……急いでるので」


案の定その男共に話しかけられてしまった。


聞こえないふりをして、ゴチャゴチャ話しかけてくるそいつらに目もくれずに私は歩を進める。けれど。



「あ、待ってよ」

「っ、」


突然パシリと腕を掴まれて、思いもかけず狼狽えてしまう。

ちょ、触ってんじゃない!胸くそ悪い香水の匂いが伝染るでしょうが!

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