シロクロ依存症
と。どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえて、ふりふりとその声の主を辿ってみれば。
「何してんの大丈夫?」
「ま、ひろ…!」
男共の後ろ。
いつも見慣れたメガネが視界に入ってきて、何故だか泣きそうになる。
そんな私を尻目に真宏は気だるそうに頭をかくと、「おいで」とメガネの奥から私を見据えた。
「……何だあのダサメガネ?君の男?」
「へえーあんなTHE 地味メガネなんて本当に存在するんすねー」
「放っておけばいいじゃん」
「…、……」
男達の、何やら偉そうな物言いに、私の中の何かが切れた。
「……うるさいさっさと離せ!そんでダサいのはアンタだから!何よそのピンクTシャツ全ッ然似合ってないし、それにアンタ香水キツ過ぎ!臭いんだよ!気づけチャラ男!!」
ひと通り言い終わると男の腕をすり抜けて、肩で息をしながら真宏の元に行く。
私が来ると、困ったような笑みを浮かべて「もしかして僕がいなくても大丈夫だった?」と漏らす真宏。
真宏、違うんだよ。
私は真宏が来てくれて…たまたま通りかかっただけなのかもしれないけど、とにかくとっても嬉しかったんだから。