【企画】恋のスケッチブックは君色に染まる
「誰もいない教室って、すっごく静かだな」
「そうだね」
誰もいない教室には私と速川くんの声が響く。
自分の緊張する気持ちを紛らわせるように、絵を描くのに集中した。
「よし、下書き完成……っ!」
うすーく鉛筆で下書きを描いた。
「色塗りは帰ってするね」
日も落ちてきたし……もうすぐ下校時間だ。
「え?俺いなくて大丈夫?」
「うん!速川くんの姿は頭にちゃんと焼き付いてるから……って」
わ、私なに言ってるの!!!?
いつも見てるのかって気持ち悪がられるじゃん……。
あぁ……最悪だ……。
「桜本」
「は、はぃ……っ」
真剣な表情で速川くんが私を呼ぶ。
もしかして……怒っちゃった……?