【企画】恋のスケッチブックは君色に染まる
「今度、俺関連で桜本をいじめたら許さないから」
速川くんがそう言うと、女の子たちは黙って自分の席に戻っていった。
「桜本……大丈夫か?」
速川くんは倒れた私の机を直しながら、私に問いかけた。
「うん……ごめんね」
「なんで桜本が謝るんだよ?」
「私のせいで……速川くんに迷惑かけちゃったよね……」
さっきのことで、速川くんはあの女の子たちに冷たい目で見られるかもしれない。
「違う。逆だよ。俺のせいで桜本に迷惑かけた……」
「ううん!全然迷惑なんかじゃないよ!」
助けてもらったし……むしろ感謝だ。
「はい、これ」
速川くんは私にスケッチブックを拾って手渡した。
「ありがとう……っ」
「おう、じゃあまたあとでな」
優しくて爽やかな笑顔を見せて、自分の席へ戻って行った。