【企画】恋のスケッチブックは君色に染まる





言えた……。



速川くんは今、どんな表情をしているんだろう。



恥ずかしくて、顔をあげられない。




「ごめんなさい……速川くんが好きな子いるってわかってるけど……伝えておきたかったの!だから……その……気にしな……きゃっ!」



『気にしないで』って言おうとしたら、速川くんに抱きしめられた。
速川くんの甘くて優しい香りが鼻をくすぐる。



え……?




「速川く……っ」




「ずるいよ」




「え?」



“ずるい”……?



「全然そういう素振りしてなかったから……片想いって思ってたのに……っ」



「それって……」




もしかして……っ




「俺も桜本のこと……好きだよ」




時が止まったような気がした。
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