もしも、自分の小説に自信がなくなって。
「じゃあ、どうすればいいっていうのよ……!」
私は八つ当たり気味に呟いた。
このサイトで人気が出るといえば、
やはり『地味』な少女が実は美人だったりお嬢様だったりすればいいのだろうか。
俺様な王子様や無愛想なクラスメイトが登場してもいい。
無自覚な天然美少女がイケメンの心を射止めるのだってアリだし、
暴走族で逆ハーレムを作り上げるのだって人気だ。
だけど。
「だけど……私が書きたいのは、そういう小説じゃないんだよッ」
一見どこにでもあるような小説だけど、読んでみると予想外の展開や顛末が待ってる小説。
意外性のある小説――私が書きたいのは、ソレなのだ。
「……あは、は」
気付けば、自分の口から乾いた笑い声がこぼれおちていた。
再びマウスを握りしめ、先ほど書いていた小説の編集ページへと入る。
カーソルを合わせたのは、『公開設定&作品削除』――。
「誰にも読まれない作品なんて、意味ないよね?」
自問自答しながら、ひどく冷たい気持ちで人差し指に力を込める。
その日の夜は、なかなか眠れなかった。