Polaris
あたしにピッタリと行っていたが、あたしは伊東さんにこんな風に思われているのだろうか。


普段香水を付けないあたしには、その香りはキツク感じる。


それに、あたしはこういう香りは嫌い。


だって、この香りは昔よく母親が付けていた香水に似ている。


でも、嫌いなんて言えない。


「ありがとうございます。これから、使わせて貰いますね?」


笑顔で、お礼を口にする。


きっと、この香水を愛用することはないだろう。


付けたとしても、ここに伊東さんが来る時だけだろう。


伊東さんが次にお店に来た時には、この香水のことなんて忘れているのだろうけど。


そんなことを思いながら、ポーチの中にしまった。




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