Polaris
あたしは隼人に何も答えずに、輝の席に戻った。


「お待たせ」


そう言い、隣に座る。


「ねぇ、輝は今何してるの?」


さっきの話にまた戻りたくないと思い、話題を変えた。


輝は、スーツのポケットから何かを取り出しあたしに渡す。


それは名刺だった。


Knight(ナイト)
 輝 ~テル~


「ホストやってる」


輝もあたしと同じように、この夜の世界に生きる1人になっていた。


「今度、翔と3人で飯でも食いに行こう。昔みたいに」


昔、、、みたいに。


どんなに良いだろう、何も知らないあの頃に戻れたら。


でも、そんなことが出来ないのが現実。


あたしはただ、輝の名刺を眺めた。

< 13 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop